アジアの災害記録と記憶:ネパール・ゴルカ地震
「災害記録・教訓を踏まえた復興への長い道のり」
ネパール・ゴルカ地震から今日で5年が経ちました。泥や焼きレンガを乗せて積み上げる「煉瓦組積構造」と呼ばれる様式で建てられた一般家屋が倒壊し、8,964人が亡くなる甚大な被害が発生しました。
SEEDS AsiaはSEEDS Indiaチームと共に緊急支援を即日に決定。被災地での初動調査を踏まえ、支援が十分に届いていなかったシンドゥリ郡のジャンガジョリ村を対象に、生活物資を配布しました(計335世帯)。尊厳ある生活空間の確保を目的としたテントとファミリーキット(スフィア基準に配慮)の配布の際には、涙を流して喜んでおられた住民の方々の姿を私たちは忘れることができません。
その後も、SEEDS Asiaは学校再開支援として、被災児童への学習支援キットの配布、学校家具の整備の他、地域と共に洪水や余震のリスクと向き合う心のケア及び防災教育事業を2018年まで実施しました。こうした一連の活動に対し、国内外の多くの方々からご賛同・ご寄付をいただき、現地での活動が展開できたことを、改めて感謝申し上げます。
被災地を訪問する中で、私たちは「よりよい復興」の難しさを痛感しました。ネパールは1934年にネパール・ビハール地震(M.8.1)を経験しており、約80年前の災害記録と類似した光景が私たちの目の前に広がっていたからです (添付写真)。過去の教訓は活かされなかったのか、、、私たちは言葉を失いました。
被災者の方々に一刻も早く元の生活を取り戻して欲しいという時間的な制約の中で、よりよい復興に向けた安全性を高める新技術の導入・適用と、同時に失われてはならない伝統的な建築・生活様式と環境への配慮が求められます。復旧に留まらず、教訓を踏まえた災害に負けないまちづくりの実現には、複雑な課題と同時に向き合っていく必要があります。
100年後、そしてもっと先の未来をつくるために。SEEDS Asiaは命とまち、そして未来への希望が奪われることのない社会を目指し、日本を含めたアジアでまちづくり・人づくりにこれからも取組んで参ります。
最後に改めて、ネパール・ゴルカ地震で亡くなられた方々のご冥福を心よりお祈り致しますと共に、今日の日を思い出す全ての方々に安寧が共にありますように。