近畿ESDコンソーシアム主催「ESDと防災・減災」シンポジウムへの登壇【本部】
7月9日、令和4年度近畿ESDコンソーシアム総会記念公開シンポジウム「ESDと防災・減災」が奈良教育大学ESD・SDGsセンターの多目的ホールで開催されました。地震や津波、そして激甚化する豪雨・洪水被害に、私たちは何をすべきか、防災・減災を教育の観点から考える機会として開催されました。
本シンポジウムでは、奈良教育大学ESD・SDGsセンター長である中澤静男教授がモデレーターを務め、シンポジストとして奈良教育大学ESD・SDGsセンター及川幸彦准教授(兼SEEDS Asia理事)、橋本市立あやの台小学校教諭の中谷栄作先生、そしてSEEDS Asiaの事務局長の大津山光子が登壇しました。
事務局長の大津山からは、ESDをベースとした防災・減災教育に資する実践として、普段の学校と地域と連携による過去の災害を含めた地域の歴史の学びが有事の避難に有効であることの事例、さらにはまちの持続性を確保するために子どもが被災後のまちづくりに参画することの重要性とその意義について事例を紹介しました。
少子高齢化の中の人材不足、そして行政予算が縮小する中、NPOや多様な市民主体との連携、或いは外部支援の有効な活用は、地域の持続性を左右するものと言っても過言ではありません。そして、まちづくりに子どもの参画を促進していくことは、十年先、二十年先もこの住みたいと思うまちの未来をつくること、と考えています。
命を奪うだけでなく、地域の持続性を脅かす災害。過去をベースとした予測ではもはや対応できない時代だからこそ、地球規模で考え、足元から行動する(Think globally, act locally)学びと実践が求められます。この気候変動・気候危機という地球規模の大きな話と、普段暮らしている目の前のまちの課題という小さな話を、いかに自分事として捉え、日々の選択として取り組むことができるか。「自分だけ」、「今だけ」を越える選択ができるようになる人材を育成するためには、教育の重要性は言うまでもなく、それは学校だけが背負うものでもありません。
地球規模の課題を意識しながらも、足元の課題解決に向けて地域と子どもが共に取り組んでいくこと。SEEDS Asiaは被災後のまちづくりにおいてこれからもESDのアプローチを念頭に置きつつ、地域や子どもと歩んで参りたいと、改めて感じました。
ここに改めて、貴重な機会を頂きました近畿ESDコンソーシアム・奈良教育大学のESD・SDGsセンターの皆様に心より感謝申し上げます。
ESDとは、「Education for Sustainable Developmentの略で「持続可能な開発のための教育」と訳されています。今、世界には気候変動、生物多様性の喪失、資源の枯渇、貧困の拡大等人類の開発活動に起因する様々な問題があります。ESDとは、これらの現代社会の問題を自らの問題として主体的に捉え、人類が将来の世代にわたり恵み豊かな生活を確保できるよう、身近なところから取り組む(think globally, act locally)ことで、問題の解決につながる新たな価値観や行動等の変容をもたらし、持続可能な社会を実現していくことを目指して行う学習・教育活動です。つまり、ESDは持続可能な社会の創り手を育む教育です」
(文部科学省 持続可能な開発のための教育)