<郷に入れば郷に従え> 想像と異なった現実の家屋防災手段【ベトナム】
ベトナム・ダナン事務所の森川です。自然災害への防災模型作成が目下の最大ミッションとなっています。日本での台風経験から、家屋および人命を守るための防災対策を自分なりに検討しては、模型のイメージを膨らましてきました。しかし、昨日現地スタッフとダナン市海岸近くの家屋を訪問し、写真撮影および話を伺う中で、目から鱗(うろこ)的なショックを受けました。
1軒目の訪問。玄関近くの外壁中央に大きな太い釘が2本打ち付けられてあります。裏へ回ってみました。その釘はここにもありました。一体これは何に使うのだろう?
判明しました!台風時に、家屋片側壁面の釘にロープを巻き付け、そのロープで屋根上を覆い、反対側の壁に打ち付けられた釘にまきつけて終了。結果、台風時に屋根は安定し、強い海風が来ても安心して家の中で暮らせるとのことです。
そして2軒目。屋根にくっ付いたスチールの板と釘を発見しました。これも、それこそ想定外の防災手段でした。
スレートやトタン素材の屋根が大半のダナンの家屋。暴風で簡単に吹き飛ばれそうに見えます。しかしそうはさせじと、屋根の下を縦に渡した垂木にL字型のスチール板を取り付け、そこに釘を打ち付けて屋根の飛来を守るという手段。これで、強い海風から屋根を完全にシャットアウトすると言うのです。
な~るほど、私の頭からは想像だにしなかった発想ばかりです。郷に入れば郷に従えとはよく言ったものです。台風・嵐・強風が日常茶飯事に来るダナンの海岸住民。自分たちにあった防災手段をずっと昔から講じていたのでした。賢者の知恵とも言えそうです。
この防災手段の是非は別として、その国・地方・地域に準じる防災手段が長い歴史の中で延々と継承されていることを知り、今後のベトナム・ダナンでの防災模型の在り方に一矢を投げかけられた一瞬でした。この学び、今後の模型作りに活かしていきたいと思います。