【認定】特定非営利活動法人SEEDS Asia

発展の影で vol.11

Xin chao! 今週の土曜、vol.9のとおり、オフィスのあるダナン工科大学の学生の友達とホイアンに行きました。その様子は…

海だーーーっ!!
超気持ちいい!!
…また今度お伝えすることにして、(笑)今日は、私の目から見たベトナムの発展について書きます。
Roseのバイクの後ろに乗っけてもらって30キロほど離れたホイアンに向かう道中、ぽつぽつと家が並ぶ以外何にもない平原を走る道沿いに、巨大な高級リゾートの建設が行われている光景がいくつも見られました。屋根がぼろぼろの粗末な家が数建だけあるところに、いきなりラスベガスみたいな高級ホテルがどどーんと現れる。とても歪な光景でしたが、このいびつさが、そのままベトナムの発展の様子をあらわしているよう。
市場型経済に移行してから数年、ベトナムは外国系企業の参入やリゾート開発が急激に進んでいますが、それは私のインターン先のダナンも例外ではありません。ダナンに住む人は口をそろえて『5年後にここに来れば、まったく違った光景になってるよ』と言いますが、ダウンタウンの方では、まさに、有名なFuramaリゾートをはじめとする高級リゾートやカジノが次々と建設中。この間ダナンに暮らす日本人の集まる日本人会にSEEDSのスタッフの方と参加しましたが、自動車・人材育成・建築・ホテル・カジノなど、100名ほどの様々な業種の方が参加していらっしゃるのを見て、よく文字で見る『外国企業の進出』というのが、とても生々しく感じられました。
でも、ベトナムに暮らす人たちの生活を見たり聞いたりしていると、『発展』と『生活の向上』が比例どころか、反比例しているように思えて仕方ない。vol.10で登場したミーのお母さんはスイスの資金提供しているNGOでベトナム人スタッフとして働いていらっしゃいますが、彼女の “Vietnam is not a developing country.”という言葉がとても印象に残っています。(ベトナムは発展途上国と言われているけど、ベトナムに暮らす人の生活は、何にも発展していない)
以前SEEDSのお仕事で訪問したTay Son中学校でお会いした日本語の先生は、公務員の給料があまりにも低いために、学校の教員は一日働いても3食分のお金がもらえないこともある、とおっしゃっていました。しかも給料は低いままなのに、物価はじわじわ上がっていく。そのため、教師の多くは学校の授業を終えるとパートやアルバイトをして家計を支えていとるのこと。小・中学校の先生は女性が多いのですが、彼女たちは一日学校で働きパートをして、帰宅すると家事や育児、と働き三昧で、とても趣味や余暇を楽しむ余裕などないそう。

また、人の多い屋台でご飯を食べていると、小さい子供がガムを売りつけてくることがあります。教員プログラムの後浜辺で晩ご飯を食べていた時、5歳にもならないような女の子がガムのケースの入ったかごを持って、いくら断ってもその場を離れず、ということがありました。数日前は、8歳くらいの女の子が盲目のおばあさんを連れて、同じくガムを買うよう促して来ました。いくらGDPが成長していようが、小さな子供たちを商売道具にしてまでしないと生活できない事情は改善されていません。

それでも、ダナンはまだだいぶん発展している方。農村部に滞在したことがないのではっきりとは分かりませんが、フエやホイアンに行く道中に見る農村部の家屋の様子は、ダナンで見るものと全く違う模様。人が住んでいるのか疑うほどぼろぼろの家もあるし、電柱のないところを見ると、電気が走っているのかも怪しい。生活も農業に完全に依存していて、生活は天候にかなり影響を受けるとのこと。こういった農村部では、『発展』という言葉がとても皮肉に聞こえます。でも、実にベトナムの人口の7割は農業就業者。社会格差を示すジニ係数は悪化していますが、そこに外国企業や観光業で一部賑わうベトナムの経済と、その影で何らdevelopしていないベトナムの人の暮らしが垣間見える。どうすれば、平原の中のラスベガス状態の人間不在の発展から脱却できるかが、今後のこの国の課題のように思います。

ガム売りの女の子や粗末な家屋にカメラを向ける気にならなかったので、今日は写真なしですが、お許しください。次回はホイアンの様子についてレポートします!それではヘンガップライ! なお、私のインターン先SEEDS Asiaに関しては、https://www.seedsasia.org/ まで!

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2010/09/06

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