【認定】特定非営利活動法人SEEDS Asia

防災授業の紹介(Vol. 20)

読者のみなさま、更新が遅くなりまして申し訳ございませんでした。

前回は土嚢づくりの授業の紹介でしたが、今回は9月と10月に、主に課外授業で実施された防災授業全体の様子をご紹介したいと思います。下の表は、SEEDS Asiaから各学校の先生方に紹介した防災教育(Disaster Risk Reduction Education)プログラムのリストです。

防災教育(DRR Education)プログラム

各学校で最も実施されたものは、応急処置(First Aid)とスクール・ウォーキングと防災マップづくり(School Walking and Map Making)でした。応急処置は心肺蘇生や骨折などのけがの処置の仕方を学ぶ授業で、スクール・ウォーキングは、災害が来た際に学校のどこが危ないのか、どこに行けば安全かなどをチェックし、地図にする授業です。授業の進め方によっては、火事などの災害に対する避難経路を作成したりもします。

まず、応急処置の授業では、ダナン市の保健センター(Health Center)の医師スタッフにも来ていただき、処置の仕方が生徒たちにうまく伝わるよう補佐・助言をしていただきました。レ・タン・トン中学校では、9月と10月にそれぞれ1回ずつ応急処置の授業を実施しましたが、2回目の際は保健センターの助言なしに授業を実施することができるまでになりました。生徒たちも最初は恥ずかしそうに実技していましたが、先生の助言を受けながら、処置ができるようなっていきました。

レ・タン・トン中学校での様子(1)
一人で心肺蘇生をするときは、15回心臓マッサージをして、2回人工呼吸だそうです。
レ・タン・トン中学校での様子(2)
二人で心肺蘇生をする場合は、1回人工呼吸をして、5回心臓マッサージです。
ボ・ティ・サウ小学校の様子
先生と保健センターのスタッフが見守りながら添え木の仕方を学んでいます。

スクール・ウォーキングの授業は学校の中を歩いて地図を作成するということで時間の調整が難しかったりします。特に地図の書き方は個人個人の性格が反映されてとても面白いのですが、あまりに正確に描こうとしすぎて時間がかかったりすることもあったようです。中学校の授業では、お互いの地図に対して質問をしたりして学校内の危険箇所や災害時の対策について理解を深めることができたようですが、小学校では、生徒だけでまとめていくことは難しく、学校の先生方がうまく助言しながら、地図をまとめていました。カメラで写真を撮って、伝えたいポイントを考えていく作業は先生にも生徒にも新鮮なもので、楽しんで活動をしていました。また、スクール・ウォーキングの経験を応用して、レ・タン・トン中学校では、タウン・ウォッチングと防災マップづくりも行い、学校周辺の危険個所を探したりしました。

ファン・ダン・ルー小学校での様子(1)
先生と学校内を回り災害が来た時の危険個所などを探します。
ファン・ダン・ルー小学校での様子(2)
作った地図を発表します。写真はみんなにアピールしたいポイントです。
タイ・ソン中学校での様子
火事の際の避難経路について考えました。
レ・タン・トン中学校での様子
タウン・ウォッチングで、工事現場近くの危険個所をみています。

この他に、台風や洪水から避難する際に持ち出すものを限られた予算内で考えたり、「非常持ち出し袋」を考える授業を実施したり、災害のメカニズムについて学ぶ授業を実施したり、過去の災害体験を作文にして発表する授業が実施されました。また、火事が起こった際のバケツリレーを体験する授業も行われました。

非常持ち出し袋の中身を議論する中学生(非常持ち出し袋作成)
ビデオを観て災害について学ぶ生徒(災害に関する講義・ビデオ鑑賞)
朝礼で災害についての作文を発表する生徒(作文)
バケツリレーで競争する生徒たち(バケツリレー)

各防災授業は、授業だけでなく、グループ作業やプレゼンテーション、実技などを通して生徒が防災に対する意識を高めることを目的としています。これらの授業を通じて、実際の災害の時に行動できるように生徒自身準備することも大事ですが、学校で学んだことを家族にも伝わることで、防災意識が住民全体にも伝わっていきます。

各学校の先生方からは、引き続き防災授業を実施していきたいと、うれしいコメントをいただきました。現在、SEEDS Asiaは、この防災授業を学校の先生方が実施する際の手引書を作成しています。このSEEDS Asiaの取り組みを通じて、防災授業が継続的に実施されるようになればと思っています。

シーズのウェブサイトはこちら↓です。
https://www.seedsasia.org/
活動写真はこちら↓
http://picasaweb.google.com/100099418022982072501

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2010/12/14

各地からの活動報告