学校兼シェルター竣工のご報告【ミャンマー】
クーデターが発生した昨年の2月1日から一年が過ぎました。しかし、今この瞬間にもミャンマーで、罪のない人々の命が奪われ、くらし・まちが破壊される事態が発生し続けています。
2020年3月からから開始したワーボチーボ村小学校兼シェルターの建設が、2022年1月末にとうとう完工しました。新型コロナウイルスに伴う国内外の移動制限に伴うリモートによる施工管理の困難の中、2020年7月には例年よりも早いモンスーン期の浸水開始、さらにはヒンタダ地区内で破堤するという不測の事態が連続して発生したことで、工期は大幅に遅延する事態となりました。
2021年にはクーデターの発生とその後の政情不安、さらなる新型コロナウイルスの蔓延により、「ヒト・モノ・カネ」の移動が大きなリスクを伴うものとなりました。現地の人々の暮らしを守るはずの支援が、攻撃の対象となるリスクを孕むという現実を前に、この間、事業の中断を考えざるを得ない状況に何度も陥りました。
しかし、どのような政治状況であれ、自然の摂理と気候変動の影響を止めることも避けることもできません。激甚化・頻発化する自然の脅威は、脆弱層にさらに大きな打撃をもたらし、住民の安全確保はより重要かつ喫緊の課題となっています。そして子どもたちへの教育は、こうした危機を生き抜くための水や食料と変わりなく必要不可欠なものであり、国の未来をつくるものです。だからこそ、私たちは事業を中断することはしないと決意し、どのような状況下にあっても完工を目指し続けることとしました。この間、村の方々には、建設監理事務所から現場での移動や物品の管理、スタッフやワーカーの移動や滞在に関わり、多大なる協力をいただきました。
現地の政情に鑑み、引き渡し式は残念ながらオンラインでの実施となりました。しかし、村の方々や子どもたちが「日本が作ってくれた学校だ」と喜ぶ姿、そして「防災研修によって人災を含めた様々な危機にも対応できるようになった」と先生や地域の方々が話す言葉には、スクリーンからも伝わってくる深い感謝の想いが込められていました。
クーデター発生後から完工迄の一年間、現地スタッフや村の安全を優先させていただき、ニュースレターやホームページ、SNSでの活動状況について一切報告できない状況が続きました。このような事態をご理解いただき、温かく見守ってくださった方々、そしてミャンマーの方々に心を寄せ、ご心配と応援を頂いている方々に、この場をお借りして改めて深く御礼を申し上げます。以上をもちまして、外務省日本NGO連携無償資金協力事業は終了となります。在ミャンマー日本大使館、日本外務省民間援助連携室の担当者の皆様を始め、事情をご理解の上、温かく見守り、ご支援ご協力を頂いた皆様、本当に有難うございました。