専門家派遣:鳥羽市立鳥羽小学校での教員研修会【日本/未災地】
8月2日、SEEDS Asiaのテクニカルアドバイザーとしてご協力頂いている岸田蘭子先生(元京都市高倉小学校校長、滋賀大学大学院教育学研究科特任教授)と、事務局長の大津山光子が鳥羽市立鳥羽小学校で行われた同校の教員研修会で講師を務めました。
三重県の鳥羽市立鳥羽小学校との連携は、SEEDS Asia理事の及川幸彦氏(東京大学大学院教育学研究科付属海洋教育センター主幹研究員)が講師・コーディネーターを務める「アクサ生命×ユネスコ協会主催 防災/減災教育フォーラム(2018年度)」を機として、Education for Sustainable Development (ESD: 持続可能な開発のための教育)アプローチによる防災/減災教育の協力要請をいただいたことが始まりです。鳥羽市は南海トラフによる甚大な被害が想定されていながらも、市全域が伊勢志摩国立公園という豊かな自然と海女文化や九鬼水軍などのユニークな海洋文化と歴史あるまちです。命を守ることに留まらず、まちの未来をつないでいく担い手を育成していく教育が求められていました。
2019年度から年に数回の専門家派遣を通じて同行と関わって参りましたが、総合学習の中で実施される一過性の授業では命を守るのための情報やスキルの獲得に効果はあっても、持続可能な社会の担い手としての育成には課題が多いと感じていました。ESDをベースとした防災/減災プログラムが属人的ではなく学校全体で継続的に進められるためには、カリキュラムマネジメントを学校の基盤強化策として導入し、科目横断的な学校全体の取り組みとすることが一つの有効な手法であると考えました。そこで、カリキュラムマネジメントの研究・実践において豊富な知見をお持ちで他事業でも連携のあった岸田蘭子先生に加わっていただき交流を進めて参りました。
学校の未来はまちの未来と切り離せない関係にあります。都市経営や災害リスクの観点から、まちは利便性の高い中心地の居住地へと誘導・集約される一方で、多くのまちが縮退化の方向にベクトルが向かっています。鳥羽市においては、2050年には7,230人という人口予測となっており、まちの存続は地域の歴史・景観というまち資源を生かすことができるかどうかにかかっています。特に鳥羽小学校の学区は鳥羽市の総合計画、景観計画でも重要な地域として位置づけられており、海洋観光都市の未来を担う子どもたちをどのように育成していくかは喫緊の課題です。大津山からはこうした学校を取り巻く背景を「パールカリキュラムがつくる鳥羽の未来」をタイトルとしてお話し、岸田テクニカルアドバイザーからは、「カリキュラムマネジメントのステップアップのために」と題し、前回のカリキュラムマネジメント研修のふりかえりと昨年度の成果物の見直しとさらに磨きをかけていくための実践ワークショップをおこない、二学期に備える手立てとしました。
代えることのできない、命とまちをつないでいく、「鳥羽っ子」がこれからますます増え、活躍していきますよう、これからもSEEDS Asiaは鳥羽っ子を応援して参ります!
※オンサイトの専門家派遣においては、団体の新型コロナウイルスを含む感染症対応指針に基づき、派遣直前のPCR検査で陰性を確認するなど感染予防・拡大防止対策を徹底して行っています。
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2021/08/06